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評価:
西原理恵子
毎日新聞社
¥ 880
(2007-07-20)
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もう10年以上前、彼氏のススメで
『ぼくんち』を読んで以来、西原理恵子さんの書くお話が好きで、西原さんの夫、カモちゃんこと鴨志田穣氏のことも存じ上げておりました。
カモちゃんは日本を飛び出し、イロイロ怪しげなクスリをやったり、戦場カメラマンになったり、アル中になって精神病院に入院したり…と天衣無縫な人ですが、なんとも憎めない人で、西原さんの作品の随所に登場しては、私のココロをくすぐってくれる方でした。
『でした』…
そう、カモちゃんは、今年の3月にお亡くなりになっていたのです。
今回バンコクで暇を持て余した私は、伊勢丹に入っている紀伊国屋で西原さんとの共著
『アジアパー伝』を買い、カモちゃんのとんでもない放浪記を読んで、ますますカモちゃんに夢中になりました。
とんでもない自伝なのに、スーッと流れるような文章、貧困や戦争にあえぐ東南アジアの人々の生活の描写も、入れ込み過ぎていないのに、とても愛を感じる…カモちゃんは自分を弱い人間だと言うけれど、弱いカモちゃんだからこそのレポートであり、その生々しさに、読みふけってしまいました。これ以上この本を読むのに不適な場所もあるまいと思いながらオリエンタルのサマセット・モーム スイートで。
後日もう一度伊勢丹を訪れ、
『どこまでもアジアパー伝』も買ってしまいました。
そして帰国後、本屋さんでこの『毎日かあさん4 出戻り編』を買いました。『出戻り』というからには、離婚して元夫になっていたカモちゃん、ついに復縁か?と喜び勇んで購入したのです。
涙なしには読めませんでした。最後はもう号泣でした。
カモちゃんはアル中を克服しましたが、42歳という若さでガンで亡くなられていたのです。
その亡くなるまでのことが、多すぎず少なすぎず、西原さんの絶妙にほんわかする絵で描かれていました。
たぶん描かれているよりもずっとずっと大変な葛藤があったに違いありません。でもこれもまたスーッと描かれているのです。
新聞もニュースも滅多に見ない私はまったく知りませんでした。
寝ても覚めてもカモちゃんのことが頭から離れず、どうしてこんなに悲しいんだろうといぶかしがりながら、数日過ごしました。
カモちゃんのブログ、
『カモのがんばらないぞ』『BARカモは閉店ナリ』を読んで更に涙。
カモちゃんが、最期、西原さんに看取られてあの世に旅立てたことを、西原さんに感謝してしまう始末(大きなお世話ですが)。西原さんのことも更に好きになってしまいました。
『煮え煮えアジアパー伝』『もっと煮え煮えアジアパー伝』『最後のアジアパー伝』も読んでしまいました。
どこの本屋さんにもなく、amazonでも売り切れの、亡くなる4ヶ月前に出版された
『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』が、セブンイレブンに届くのを待っています。
カモちゃんのご冥福を心よりお祈りいたします。