某有名イタリアンでの失望を取り戻すべく、かつて外れたことがない銀座うかい亭へディナー
を食べに行きました。季節ごとにメニューも変わるので常に新鮮な喜びを与えてくれます。
巨大な半円形の鉄板の外側に客、内側にシェフといった形なのですが、一つ一つの席はそんなに離れているわけでもなく(そりゃあ同伴者と離れ過ぎていたらイヤですよね…)、当然見ず知らずの人とかなり近づいて食事をすることになります。そして向い側のお客さんの様子がよく見えます。それがイヤな方は個室を取ればいいわけですが、カウンターでお鮨を食べるようなものだと思えば全然苦にならないと思います。
この配置がいい方向に働くこともあれば、悪い方向に働くこともあります。
まずは長所、他人の食べているものがすぐそこに見えるので、「あ、私もあれ食べたい」と非常に食欲をそそられます。なかなかのお値段ではありますが、小汚いブルゾンを来たおじさんふたり連れとかも見えて、気を張らなくてすみます。
そして短所、それは…思わずマンウォッチングをしてしまうこと。斜め前の年の差カップルの関係が気になったり、他人の食べ方が気になったり。大きなお世話です。
しかし今回は史上稀に見る品のないリッチマンに会いました
。
彼らカップルが食べていたのは、メニューに載っていない特別なコースでお一人様5万円!
少し遅い時間帯だったので、パラパラと空席もあり、彼の大きな話し声がよく響き渡っていました。周囲の人もそれとなく気になっていたようです。
女性の方は非常にかわいらしい方で、受け答えもいちいち冷めていて好感が持てます(冷めていて…ってのもおかしいか?)。
男性の方がですね…。なんか現実には初めて見たかも、ああいう人。
「ちょっとソムリエ呼んで」「ここのワインセレクト
は素晴らしい」(←この瞬間私の連れが吹き出してしまってあせった
)「これでワイン飲まなきゃバカだよ」(←ちなみに某ワイン通の先輩が飲ませてくれるワイン以外は美味しいと思ったことがなく、『美味しくたくさん食べるぞ』という時はビールも飲まない私はソフトドリンクを飲んでいた)
彼は明らかに酔っぱらっていました。
まあそういうマンガっぽい人がいてもいいかなと思うのですが、私が何より引っ掛かったのは、時折出てくる
「やべ〜っ、マジこれやばいって」という
美味しさの表現。何がどうやばいのやら…
。あれはねえ、正直言って悲しくなっちゃいます。『美味しい』が何故に『やべ〜っ』なんでしょう。しかも見るからに若いコが言っているわけではないんですよ。私と同年代とおぼしき男性が5万円のコースを食べながら言ってるんですよ。
お金で品って買えないんだなと思うと同時に、この年になってくると品の悪い態度というのは人から眉をひそめられるんだなと思いました。今さら上品になるなんて無理ですが、せめて下品にならないように努めたいと思います。